同族会社の社長は株主を兼ねている場合が多いので、会社から対価を得る方法として「配当」としてもらうか「役員報酬」としてもらうかを選択することができます。
しかし、実際には「配当」という形を選択するケースは少なく、だいたいは「役員報酬」という形でその対価を得ているケースがほとんどです。
なぜそうなるのか税金面から考えてみましょう。
トータルで1,000万円の対価をもらう場合に、
- ケース1:全額役員報酬としてもらう
- ケース2:半分を役員報酬、半分を配当としてもらう
- ケース3:全額を配当としてもらう
の3つのパターンで試算してみます。(扶養控除等の所得控除は一切無視します。)
ケース1)
- 役員報酬1,000万円→給与所得控除後の給与所得は780万円
- 課税所得780万円に対して課せられる所得税の額は1,158,000円
ケース2)
- 役員報酬500万円→給与所得控除後の給与所得は346万円
- 配当所得は控除がありませんので給与所得346万円+配当所得500万円=846万円が課税所得となります。
- 課税所得846万円に対して課せられる所得税の額は1,309,800円
ケース3)
- 配当所得1,000万円
- 課税所得1,000万円に対して課せられる所得税の額は1,764,000円
このように、同じ1,000万円の対価を同族会社から得る場合でも、その取り方によって税金の額が大きく異なることがお分かりいただけるかと思います。
今回は所得税だけを計算してその差を見ていただきましたが、他にも社長には住民税がかかりますのでその額が変わります。
また、役員報酬は法人の課税所得の計算上損金となります(一部損金にならないケースもあります。)が、配当は税引き後の利益から支払われますので損金となりません。
つまり役員報酬という形をとる方が法人の税金も安くなるということです。
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